住宅をお考えの方に
近年、100年住宅構想を日本政府などが推進しておりますが、建物(箱物)として100年の耐久性を持たせる事は可能だと思っております。しかし、住んでおられる方のライフスタイルの変化により使い勝手が悪くなり、機能的な耐久性が無くなり100年どころか30年程で建て替えられるケースを世間では良く見かけます。
私は、100年先の使い勝手まで先を読んで設計する事は、あまり現実的では無いと思います。それよりは、せめて今からお住まいの方が終の棲家として最後までご自宅を使い続けられるよう、お住まいの方のライフスタイルの変化に対応できる設計を心がけております。しかし、あまり将来のライフスタイルの事ばかりを考えて設計してしまうと返って現時点のライフスタイルに合わなくなり使い勝手の悪い家になってしまいます。それでは、本末転倒ですので、現在と将来のバランスをとりながらの設計を心がけております。
その一つの例としては、固定された間仕切りで小さなお部屋をたくさん作るのでは無く、出来るだけ大きな間取りを取るようにし、容易に変更できる間仕切でお部屋の構成を考える等です。
奇をてらう事なく、住みやすく、永く使える家つくりをご提案させて頂きます。
設計と施工(工事)について
設計とは、建築主の要望を設計図書にまとめる事を一定の報酬で行う職能行為ですが、工事は設計図書通りに必要な資材をより安く買い、要領良く作業をして利潤を追求する営利事業であると思います。一般には建築業者に設計から工事まで依頼され、設計は受注した建築業者が設計事務所に下請けに出す事が多いと思いますが、それでは下請けの設計事務所は立場が弱くなり工事監理の機能がうまく働かなくなります。
マイホームの建設は一生に何度も体験できないので経験も生かせず、業者を信用するしか無いのが現状です。しかし、設計まで工事業者に依頼するのでは、素人の建主は手抜きが怖くて価格交渉も遠慮する事になりかねません。これでは、業者の言い値で契約する事になってしまい、建築業界に市場原理は働きません。
設計図書が先にあり複数の工事業者から見積りをとり、それを設計者の援助で比較すればそこに、自然に市場原理が働き、同じ設計でも工事業者により見積金額に差が出てきます。
設計を頼まれた建築士は建主の立場に立って工事を監理するので、営利を追及する工事業者の監督と対峙する事になります。それゆえに、工事業者の自主監理より信頼性は高いと思われます。
自ら襟を正し建主の立場に立って設計施工される建築業者もたくさんいらっしゃいますが、この様な観点からも設計は直接、専業の設計事務所に依頼され、工事とは分離する事が必要だと考えます。
(一部朝日新聞記事より抜粋)